対象喪失とか失恋とか、人生のどん底から這い上がるときに読んだ本
「あ〜いま人生どん底だな、消えたいなってとき、どうやって乗り越えた?」
…なんて電話をもらった7月末。転職と転居が重なり、躁鬱気味になっている大事な友人からだった。その相談をきっかけに本の整理をしたので、せっかくだから備忘録も兼ねてこちらでも読書リストを公開します。
人生どん底期に読んだ本リスト
恋がうまくいかないときとか仕事が辛い時、家族や親しい人との確執で心がすり減ってしまっているときって、明るい話はなるべく聞いたり目にしたりしたくないはず。小説に登場する架空の人物だろうと、実際にあったことはない他人の体験だろうと、幸運な話はすべて妬ましく思ってしまうからね。ただただしっとりと、家で泣きながら読める本を中心にピックアップしています。わたしも、実際にこれらの本を読んだから、今、なんとか生きているって言ってもいいかも。
◆「対象消失の乗り越え方」加藤諦三:失恋や死別、離別など、すべての別れに悩む人に寄り添う1冊。読書の過程で自動的に「諦める」と「認める」の容認ステップを繰り返せるので、読み終わるころには「あ、完全に失ったんだな」っていう状況を理解できるようになっています。心が苦しいときって、自分が置かれている状況を客観的に見れていなくて、自分の身に何が起こっているかを自分が理解できていないことがほとんど。酷だけど、まずは現状把握からスタートする際にはマストの一冊と言えます。
◆「デューク」江國香織(「つめたいよるに」より):犬派で、とにかく泣きたいときに読む話。飼っている犬を亡くした主人公の1日を描くショートストーリーで、過去にはセンター試験の国語の問題に出たらしいけど、こんなん出たら涙で回答できないよ。短編集「つめたいよるに」の1話目に収録。本自体はブックオフの100円コーナーでもよく見るし、文庫が出たのは平成8年と随分前なのに、今でも書店の棚に並んでいるのを見るので入手難度は易しめ。昔、犬を飼っていて、今でもその犬を愛していて、いま、息をするのも辛いなら読んでほしい。あの子といた日々の愛おしさを思い出して、もうちょっとだけ生きてみようかって思えるから。
◆「太陽のパスタ、豆のスープ」宮下奈都:「失恋 復活 本」で検索した際に見つけた本。検索結果でサジェストされた本の多くには興味がわかなかったけど(体育会系の明るい文学、恋愛本、婚活本、自己啓発系、「世界の中心で、愛をさけぶ」を本流に汲む純愛小説が多かった)、主人公が結婚式直前に突然婚約を解消されてしまった女性…という、世の終わり感のすごさから購入(自分のほうがひどい環境にいるけどね、という謎のマウンティング感も持ってたけど)。食べ物の描写が豊かで、食欲の回復にもつながった一冊。心が疲れているときって、本を読むのも億劫なので、ちょっとずつ読み進めるぐらいで大丈夫。主人公の復活ものっそり、ゆったりなので、本と同じ時間軸で読み進めました。
◆「愛がなんだ」角田光代:しょーもない。本当にバカな主人公。クソ味噌に男に依存してるけど、その男もクズ、ゴミ、ど底辺。…でもこれってリアルだよね…。人間、きれいなばっかりじゃ恋愛なんてできないけど、まずは自分を大切にしようよ、って心から思えるようになる。読んでて心が痛い人は、テルコに自分が重なる人なんだと思う。わたしはHPゼロになりました(涙)。冷静に、「消えたい」とか思ってる自分のことを「バカだな」って思える視点を得るには良い1冊。踏みとどまれる。
◆「西の魔女が死んだ」梨木香歩:説明不要。泣きたいときに読む。何度も読む。自分を愛せるようになろうって思える。
◆「ジョゼと虎と魚たち」田辺聖子:池脇千鶴と妻夫木聡のチュッチュシーンがツボで、DVDで何回も見た。そして何回も「妻夫木最低だな」ってなった(妻夫木さんが悪いんじゃないのにごめん)。若い頃は妻夫木演じる恒夫が許せなかったし、自分勝手に振る舞うジョゼも好きになれなかった。それなのに、心に傷を負っているときは2人の選択を受け入れられてしまうのが不思議。人よりたくさん傷ついた人は、人の痛みにも敏感になれるんだと思うんだ。人一倍苦しい思いをした分、命は深くなり、他人のことも許せるようになる。そうなったら、トンネルの出口は結構近くまで来ている。
◆「習慣を変えれば人生が変わる」マーク・レクラウ:自己啓発系の本は読まないんだけど、海外に勤務する友人に対象消失の苦しみを打ち明けた際に勧められた本。日本ではまだまだ一部にしか浸透していない「コーチング」のプロが記した本で、1テーマ2〜4ページで構成されているのが読みやすい。人は何もしなければ怠けるようにできていて、心が塞ぎがちなときは尚更、下へ下へと進んでいっちゃう。それを、マイナスからまずゼロに、ゼロからプラスに転じていくためのヒントが詰まっていて、まずは3週間からの挑戦がおすすめ。実際に、わたしはこれで禁煙、カロリー制限、週5のジム通い、散歩をするようになって、4か月で15kg痩せました。結構これだけで、自身がついたもんね。たしかに「習慣が変われば人生が変わる」なと実感。
いい本はいいお薬になる
文字を読むことすら億劫で、息をすることすら面倒くさいのが“病み”時期。
このままそっと消えてしまいたいって思うばかりだけど、やっぱり明日には仕事があって(しかも逃げられない)、働かないといけなくて(責任もある)、お金を稼がないといけない(生きていけないからね)。消えたいけど、生きたい。生きたいけど、だるい、つらい、何もしたくない。あーくそ、どうしたらいいんだ、とりあえず思考停止して本でも読むか。ってなったときに読む本が良書だと、いつの間にか生き返っている。引き戻されている。息を吹き返す。あれ、もう1日経ったのか…って、この繰り返しで1週間が過ぎ、3週間が過ぎ、1か月が過ぎてだんだんと心が冬眠から目覚め始める。
ぼーっとしてると自分を責めてしまうから、意識的に本に夢中になって、現実逃避する時間を作ってほしいです。わたしもそうだったから。この世につなぎとめてくれた本があれば、教えてください。