【宿泊記】木創りの宿 きこり/竹林庭 瑞穂【石和宿めぐり】

家計に余裕はないけど…、リフレッシュの時間は欲しい!そこで決めた、月1回の石和温泉通い。自宅から近い山梨・石和温泉のホテル・旅館に泊まり、お気に入りの宿を紹介するシリーズ【石和宿めぐり】を立ち上げました。同じ温泉エリアの中でも、他の宿にないUSP(独自のウリ)は「イチオシポイント」で紹介。気になる実泊料金も公開します。第2回は、「木創りの宿 きこり」さんです。姉妹館の「竹林庭 瑞穂」さんもお風呂で利用したので、ちょっとだけ感想を記します。

※注意:大浴場・露天風呂の写真は原則、掲載しません。湯殿はもちろん、脱衣所にも人がいない場合のみ撮影しています。また、個人を特定できる写真は掲載いたしません。
※新型コロナウイルス感染症拡大防止に伴い、紹介したホテル・旅館が休業している場合があります。とっても残念ですし、再開が待たれます…。最新情報は公式ホームページで確認してください。

こんな宿でした!

楽天トラベルを利用し、1泊2食付きで1人11,200円という、驚きのお値打ちプランで予約しました。土曜日の宿泊なのに、朝ごはんも夕食もついて1万円ちょっと、という価格から、正直言って宿には全く期待していませんでした。それが、なんと驚きの結果に…。

きこり 外観

温泉が楽しめればいいかな〜…ぐらいの感覚で予約し、宿に到着したところ、鯉が遊ぶ池がお出迎え。玄関に足を踏み入れると、そこには重厚感のある木柱と、一枚板のテーブルが横たわるロビーが広がっていました。一気に「こ…これはアタリの旅館では…!」と、気持ちは高揚。聞けば、きこりさんは材木屋さんが始めた旅館なのだとか。詳細は、笛吹市観光物産連盟さんの公式Webサイトのインタビュー記事が伝えています。なるほど、そうじゃないと、こんな贅沢な創りは実現できないわ…。久々に、かっこいい旅館を見たゾ。

きこり ロビー

たたきで靴を脱ぎ、スリッパに履き替え、仲居さんの案内を受けロビーのラウンジへ。抹茶と山梨銘菓「栗しぐれ」で一服しながらチェックインしていると、太り梁や木の衝立など、館内のいたるところに木材がふんだんに利用されていることに気づきます。すみずみまで丁寧に手入れされていると見え、木肌はつやつや、ピッカピカ。

きこり 館内の囲炉裏(左)、到着の抹茶・お菓子(右上)、ロビーのアップ(右下)

館内には「きこり 昭和横丁」と称したコーナーが設けられており、昭和レトロなおもちゃやポスター、かき氷機や黒電話などがズラリ。ノスタルジックな空間が好きな方にはうってつけでしょう。

きこり 昭和横丁。小さなころに親しんだガンダムのプラモデル!これ、欲しかったんだよね…。

大浴場へ向かう通路には囲炉裏が設けられており、ぶんぶく茶釜気分(?)も味わえます。寅さんのポスターも良かった。炭の焼ける香りは祖父母の暮らした農村地帯を思い出させ、一気に気持ちはオフモードに。旅館に泊まる!となると、どうしても「思い出を写真に残さないと」「良いところをくまなく知りたい!」「全館散歩しなきゃ」「お風呂は踏破しないと」…なんて意気込んでしまうのですが^^;、そういった気持ちがスーッと抜けるような、居心地のよい空間でした。

茶室の趣を残す平屋造りの客室

宿泊した客室は、きこりさんの和室。平屋造りの館のうち「蓬莱」という館の一室に宿泊しました。もともとはお茶室として使っていたそうで、客室内にお茶用の水道流しがあったのは印象的。鏡台や高テーブル(助かる!!)の広縁があるのも、過ごしやすいポイントです。

きこり 客室

浴室と洗面所の空気が少しこもり気味でしたが、木造りなのでそれはご愛嬌。水回りにも木を使えるのは、木材にこだわる旅館ならではの挑戦だと思います。客室風呂にも源泉を引けるそうで(15分ほど出しっぱなしになると温泉になる、との案内が貼ってありました)、客室でも温泉を愉しめるのは思わぬサプライズでした。

きこり 客室風呂。結構深い!しっかりお湯をはり、楽しませていただきました…感謝

特殊な状況でしたので、夕食は部屋食で。

新型コロナウイルス感染症に関するニュースが増えてきた時期だったからか、チェックイン後、お部屋で「今晩の夕食はお部屋にお出しします」との案内が。こちらとしては、不安な中へお世話になっているうえ、労力のかかるだろう部屋食で対応していただけるなんて、恐れ多い思いです。感謝しつつ、宜しくお願い致しますとお伝えし、夜7時から客室で夕食を愉しみました。

きこり「甲州の旬会席」 台の物(左)、手作りのタピオカプリン(右)

おひつで白米を届けていただいたので、自分のペースで食事できるのは最高!の一言。どうしても、焼き物や台の物と白米は、セットで食べたい筆者・らくです(笑)。部屋出しの場合、冷めてしまったり、乾いてしまったり、というのは残念なポイントですが、そういったことも一切なく、最後まで愉しく食事できました。カニの殻を使ったグラタン風の洋風焼き物や、お造りも美味しかった。鍋の〆にはうどんも付いてきました。配膳を担当してくださったお姉さん、お元気でしょうか。

きょうび、生花が飾られている旅館は珍しいと思う

きこりさんに宿泊し、びっくりしたこと。それは、なんと言っても館内外・室内のいたるところに生花が存在していたことです。お話を聞けば、なんとわざわざ、定期的にお花の先生が飾り付けされているのだとか。華やかで大きなフラワーアレンジメント作品から、パブリックスペースやラウンジに置かれたプチ生花まで、どれも美しく咲き誇っており、木造りの宿とも合わさって非常に心地よい空間を演出していました。

さらに感激したのは、客室の床の間のお花も、剣山に刺さった生花だったこと。宿泊した日は緊急事態宣言より前の少々肌寒い日だったにもかかわらず、黄色の花弁と緑の茎が鮮やかで、春の陽気や爽やかさを感じるようでした。和モダンや洋風・欧風を打ち出し、スタイリッシュなお宿も増えていますが、昔ながらの旅館はそういえば…、こうやって生のお花が飾られていましたよね。

竹林庭 瑞穂のラウンジ 朝の様子。朝陽が心地よい!お花もいきいき。

そうそう、宿泊日は残念ながら雨だったのですが…、姉妹館の「瑞穂」さんの玄関アプローチにあるつくばいに雨が打つ様子を見ることができたのは、大収穫。しっとりと、落ち着いた雰囲気で、「あ〜日本の旅館サイコー…(涙)」としみじみできた瞬間でした。

きこり&姉妹館で湯巡り

きこりさんの姉妹館は、石和エリアでもハイクラスにあたる「竹林庭 瑞穂」。1泊2万近くまで上がるため、そうそう宿泊できるお宿ではありません。でも、きこりさんに宿泊すれば、瑞穂の露天風呂は利用可能。

竹林庭 瑞穂の女性露天風呂「白玉の湯」(脱衣所・湯殿が無人のときに撮影しました)

湯船の中は、座るとへその下ぐらいまで浸かれる浅い箇所と、胸元まであたたまる少々深いところと2箇所あり、長湯が苦手な私でも半身浴しやすかったです。湯ざわりは、石和温泉らしくしっとり、すべすべ。やわらかな湯です。きこりさんと瑞穂さんをつなぐ道路の間に、石和源泉第一号の源泉があったのですが…、その源泉を使っているのかなぁ。温泉分析表、もっと見ておくんだった。

個人的には、瑞穂さんの露天風呂もよいのですが、きこりさんの古代檜の大浴場がお気に入り。1人分がすっぽり収まる広さしかありませんが、源泉かけ流しの湯船があって、そこが抜群に気持ち良い。飛び上がるほどアッツイときもありましたが(笑)、水道をひねって調整できるのも嬉しい配慮。かけ流しの良さを生かすため、足で湯もみしてから入りました。あと、湯船につかりながら、大月短期大学名誉教授の田中先生による温泉解説が読めるのも愉しかった。山梨の温泉を「地球の体液」と称する源流は、田中先生にあるのかな。

イチオシポイント:木造りの館と生花が織りなす懐かし空間

著名温泉地には必ず1軒はあるだろう、昔ながらの木造の旅館をお探しの方はきこりさんで決まり。石和を見渡しても、館の主要部分を木造りで統一しているホテルはそう多くなく(まだ全部見ていないので大声では言えませんが…)、小・中規模の落ち着いた旅館を探している場合にはぴったりだと思います。また、姉妹館の「竹林庭 瑞穂」さんはとてもきれいですが、内装が近代的なので、より日本旅館の雰囲気を味わいたいなら、きこりのほうがおすすめしやすいと思います。ただし、きこりさんの大浴場は2階にあり、必ず10〜15段程度の階段を登らないといけません。エレベーターはあるのかな…、なかった気がします…。なので、足腰に不安のある方と泊まる場合は、必ず一緒に移動したほうが良いでしょう。

それと、わかりやすい「飲み放題」や「フィンガーフード無料」などのサービスより、お花に見られるような付かず離れずのサービスと、見えないところでの工夫を評価できる人にも、きこりさんはフィットする旅館だと思います。

精算:1人11,200円

プラン名:【楽天スーパーSALE】10%OFF!【きこり】甲州の旬会席を堪能☆2食付
部屋タイプ:きこり(本館和室)(kiwa)←この(kiwa)ってなんだったんだろう?
3月の土曜日から1泊2食付きプランで宿泊。
2名で22,400円でした。完全に、楽天スーパーセールの期間限定価格だったと思います。普段はこのくらいの価格では予約できないはずです。

余談

宿泊していた日には、男性小グループがコンパニオンさんを呼ばれて宴会をしていました。ぜんっぜんうるさくなく、しかもコンパニオンさんたちが香水臭くなかった。挨拶も気持ちよかったし、当たり前だけど、靴をぬぐときに他の人の靴の上を渡って式台に登る、なんてこともなかった(たまたま玄関でご一緒しました)。石和はコンパニオンさんを読んだお座敷遊びも多いような気がするけど、印象が変わった1日でした。

らく@staff
  • らく@staff
  • 競馬、温泉、落語と講談が大好きな地方暮らし。個人の趣味サイト「くらしのおたより」を運営しています。サイト内の写真・文章の引用については「はじめに」をご覧ください。https://lifestyle-area.com/2017/04/14/hello-world/

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