【宿泊記】四万温泉「四万たむら」に泊まってきました

とにかく歩くが湯殿の数はエリア随一

露天風呂「森のこだま」。誰もいない間に失礼してパシャリ。右奥に見えているのは男湯の屋根で、ちょうど写真中央に滝が見えています

江戸時代、天保五年(1834年)の十代目 田村茂左衛門により改築された当時の姿を残す玄関とは一変、ロビーへ足を踏み入れると、「四万たむら」さんは極めて現代的なホテルであることに驚きます。多くの湯治客や観光客を迎え入れよう、喜んでもらおうと重ねてきた歴史はその規模にも現れており、客室タイプは多岐に渡り、湯殿や食事処は多数の棟に点在しています。

そのため、館内には有料貸し切り風呂を含め7つの湯殿がありますが、すべて着替えて巡る必要があり、洗い場のない風呂も少なくありません。この点がプラスに働くかマイナスに作用するかは、滞在の目的が温泉か否かで大きく変わりそう。すべての湯殿が異なる源泉(つまり7本)を利用している宿なので、全制覇したいところですが、エレベーターでご一緒した御婦人グループは「どこになにがあるかわからなくって!疲れちゃったわ」とこぼされてました。気持ちはわかるな〜…まさかこんなに広いとは思えないよね、あの入母屋玄関で見ると。

そんなわけで、現地に着いてから迷わないように、お風呂の特徴を記した備忘録を残しておきます。お風呂ごとの特徴は下記の通り。チェックインする帳場がある入母屋玄関から遠い順にご紹介します。

露天風呂「森のこだま」。誰もいなかったので失礼して…。お湯は熱めです。湯守りの方が湯温の予報を掲示してくださっていて、今後1〜2時間で湯音が40〜42度まで変化しそうだよ、なんてこともわかるのが楽しい。
  • 露天風呂「森のこだま」…6:00〜23:00限定。木涌館の方ならアクセス良好。男湯が1階、女湯が2階で、女湯の場合は滝までちょっと距離があり、水音が心地良い。男湯はダイナミックな眺望が楽しめそうですね。じゃらんや楽天のイメージピクチャとして採用されている露天風呂は男湯のものと思われます。朝もやの中の入浴がおすすめされていますが、チェックイン〜日没までの間、斜陽に照らされた綿毛や雪虫がフワフワと舞う様子が見られたのは幻想的でした。でも…金涌館からはエレベーター待ち時間も含めると歩いて3〜5分程度かかるので、わたしが入ったのはチェックイン・夕食後の2回のみ(どちらもラッキーなことに1人で貸切状態でした)。洗い場はありません。
  • 大浴場「甍(いらか)の湯」…24時間。木涌館の方ならアクセス良好。洗い場と、「ぬる湯」「ふつう」「あつ湯」の3種の湯があるのが特徴。シャワー付きの洗い場は10人分くらいあるところ、1席ずつ間隔が開けられていて、実際は5〜6人程度で利用していました。シャワーはないものの、カラン付き洗い場もあるので、そんなに密にならずに済みます。シャンプー、コンディショナー、ボディソープやピーリングジェル、洗顔フォームやかかと磨きなど一通りありますが、クレンジングはないのでご自身で用意を。ここでシャンプー、身体を洗ってから湯巡りに繰り出すのが正解なんだろうなー。吹き抜け式で1階には男湯があり、夜の3時に入ったときは水滴がコンサートホールにいるかと思うほど高らかに響き、幻想的な雰囲気を味わうことができました。脱衣所は広々として、密集感はなし。
  • 混浴露天風呂「竜宮」…水着、バスタオル着用OKですが、混浴なので入りませんでした。「甍の湯」1階からロビーへ帰る途中に足湯とプールへ抜ける扉があり、そちらからアプローチ可能。口コミを読んでいると、「甍の湯」男湯とつながっている?のかな…。脱衣所がどこにあるかも不明。「甍の湯」の窓から覗いた感じでは、1湯船につき1、2人程度のサイズ。
  • 檜風呂「御夢想の湯」露天風呂「甌穴」…24時間。金涌館の川3階にあるので、金涌館からのアプローチが容易。甌穴は明かりが小さいので、夜の入浴は控えるよう注意書きあり。四万温泉の起源をテーマとした湯殿だけあり、幽玄な雰囲気が特徴。脱衣所は8名分程度ありますが、湯船は4〜5名ほど入ると密に近いかなぁ。洗い場はありません。
  • 蒸し風呂・打たせ湯付き「岩根の湯」…24時間ですが、17:30〜23:00は貸し切り利用タイムになるので、実際に入浴できるのはチェックイン〜17:00か23:00以降の利用のみ。「岩根の湯」と同じ金涌館の川3階にあります。なので、間隙を縫うように入浴するなら、金涌館の宿泊者が有利。こちらは脱衣所もコンパクトで、一緒に脱衣・着衣する方が3、4名いると「ちょっと混んでるな」と感じます。湯船は4〜5名サイズ。洗い場は4つありました。メタケイ酸が豊富なだけあり、入浴後に肌がキュッキュとしたのは驚き><*
  • 貸し切り風呂「クリスタル」…どこにあったんだろう?見つけられず。完全貸切風呂なので、利用しませんでした。

お風呂への館内動線を総括すると、森のこだまは入浴時間が限られていますし、シャンプーや身体を洗うのはチェックインから1回程度と考えると、何度も湯巡りする人には金涌館での宿泊がいいだろうな、という印象。広くはありませんが、金涌館の川3階には洗い場付きの「岩根の湯」もあるので、時間によっては身体を洗うのも叶いますしね。「岩根の湯」も「御夢想の湯」もどうせなら1人、2人で静かに入るのがいいと思うので、空いている時間を狙って入るなら、何度も足を運べる金涌館が適していると思います。

こうやって考えると、木涌館は露天風呂派か、温泉は二の次でも大丈夫、広いお風呂に1回入れたら十分という方や、チェックイン〜アウトまでは部屋での滞在が最重要な場合にいいかも。水涌館は訪れる機会がなかったので、割愛。Googleマップで見ると駐車場側の館のようですが、檜風呂付き客室やメゾネット特別室、15畳和室と、多彩な客室タイプがあるようです。

驚きの「源泉蒸し」を朝夕2回(うまい)

夕食はスタンダードな和会席。夕食で美味しかったのは、カレイの源泉蒸し!カレイってこんなにフワフワするんでしたっけ!?というほどの柔らかさで、箸でつかもうとするとホロホロと崩れるほど。席に着いてから源泉が注がれ、燃料に火が付き、ほどなくして湯気がホウホウと出てくる…!目でも舌でもワクワクできる逸品でした。それと、前菜が盛りだくさんの「手毬盛り」は初めて見かけた器で、1段1段ずらす楽しみも…!

朝食でも源泉で炊いたおかゆが出てきて、こちらも塩っけがあり、食感もとろとろで、おかゆが苦手な私でもスイスイ完食。あなどれんですな、源泉蒸し。朝食がバイキング形式でないのは時節柄仕方ないとして(朝は洋食派なので)、何か食べられるものがあればいいが…と不安だったところ、どのお食事も美味しくいただけました(不安がっててゴメンナサイです…!)。

そうそう…。一人旅だったので、会場食だと他の席の人からジロジロ見られると嫌だな、なんと思っていたんですが、18時からのスタート時刻にしたからかほぼ一番乗り&最速で食事も終わり、不快感はゼロ。他のお客様にも感謝ですよね。スタッフのおじさまも大変優しく、最高の気分で会場をあとにできました。飲み物のしつこい誘いもないし、お水を頼んでも嫌がられないし、配膳中も距離を取ってくれていたし…。何も言うことなしでした。食事中はあまり飲酒しないタイプなので、白米とお味噌汁は最初に持ってきていただきたく、「もしよろしければご飯とお味噌汁をお出しできますのでお声がけください」とお気遣いいただけたのも本当に嬉しかった…(言い出すのが恥ずかしいので)。

(食事後の散策余談)20時頃、「積善館」さんの夜の姿を見るためにふたたび街歩き。いつか泊まってみたいですね

次も金涌館がいい。

翌朝は明るく元気なフロントの女性にチェックアウト対応をしていただき、出発の際は「岩根の湯」をおすすめくださった男性スタッフの方に気持ちよく送り出していただき…。元気いっぱい、心身充実で「四万たむら」さんをあとにしました。一人だからって差別されなかったし、変にも思われなかった。初めての一人温泉旅でしたが、こんなに充実した時間が過ごせるなら、今後もチャレンジしてみたいな。

ところで気になる宿泊料金ですが、早割りプランにGoToキャンペーン適用で、1室2人利用が33,000円→21,450円でした。紅葉シーズンに1人1万円ちょっとでこんな体験ができるなら、1人で2人分の料金を払って一人旅をしてもいいんだろうな。公共の場では会話も少なめに、移動中の席もソーシャルディスタンスを気にしつつ、と、いろいろ制限のある旅ではありますが、温泉で憩う場を提供してくださっているすべての方に感謝。一刻も早く、安心して旅ができる日が来ますように。

らく@staff
  • らく@staff
  • 競馬、温泉、落語と講談が大好きな地方暮らし。個人の趣味サイト「くらしのおたより」を運営しています。サイト内の写真・文章の引用については「はじめに」をご覧ください。https://lifestyle-area.com/2017/04/14/hello-world/

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