その旅は誰のための旅ですか?

スマホ脳」を読んでから、スマホのスクリーンタイムを1日平均3.8時間から1時間に減らすようにしています。学び多き一冊で、スマホに奪われた時間を取り戻そうと思えたのが最大の成果物だったのですが、わたしの場合はさらに大きな気づきに出会えました。

永遠に見返すことのない「記憶メモ」

本書の中で、長期記憶を作るには集中が必要で、絶えず新しい情報が顔を出すスマホはその集中力の妨げになる、という話が説かれています。特に私がハッとしたのは下記の一文。

グーグル効果とかデジタル性健忘症と呼ばれるのは、別の場所に保存されているからと、脳が自分では覚えようとしない現象だ。

アンデシュ・ハンセン「スマホ脳」Kindle版を参照 「グーグル効果--情報が記憶に入らない」内より

これ、あるある。あとで検索すればいいや、と、その場で理解することもせず、気になった記事や写真は「お気に入り」や「LINEメモ」に送信。そして見返すことはなく、どんな記事をストックしているのかも忘れてしまう。「写真で見られるんだから、記憶には残さなくていいじゃないか」との一文も収録されていますが、まさにその通り。

この現象、一眼レフやiPhoneを持ち始めてからの私に至っては、ニュース検索だけでなく旅にも同じことが言えるんですよね。

誰のために撮影しているのか

とりあえず撮影しておこう、という気持ちが存分に発揮されているのが、私・らくの旅行記。

四万温泉の「四万たむら」さんに泊まった時は、もともとの同行者が行けなくなったことも手伝って、帰宅した後にたくさんお写真を見て経験をシェアしようと思い、数えられないほどの写真を撮影しました。

採用されていない写真も含めると、その数は1泊2日間だけで120枚。お料理については角度を変えお皿の配置を変え、客室についてはカーテンを閉めたり開けたり、とにかく落ち着くことなく撮影三昧のチェックイン~アウトだったことを覚えています。お風呂なんて、誰もいない時間帯に湯殿を撮影するため、チェックイン後は大浴場に直行したぐらいですから…。

結局撮影しても、帰宅してから記事にするのは一苦労。見返してみると、やはりプロではなくアマチュアが撮るものですから「載せても綺麗に見えないな…」という写真ばかり。温泉街や館内の看板、大浴場の温泉分析所なども「とりあえず撮影しておいて、後から見直しておくか」と、その場で読むことはせず、理解しないままスマホの「写真アプリ」内に放置…。そして数日経つと、写真を複数枚選択し、「まとめて削除」しているんですよね。

記憶を思い出そうとしても、写真に切り取られた場面以外のことは全く思い出せず、玄関以外の館内の造りはもちろん、客室のアメニティや外の景色、本館と客室に続く際のじゅうたんの色さえも記憶にない。写真を辿ってようやく「ああ、こんなんだったかな?」とぼんやり思い返すぐらいで、いかに現地で五感を使って旅していないのかに気づきました。

そうなってくると、結局、写真を撮影するのは誰のためなのかなって。誰のための旅をしているのか、わからなくなってきました。

自分のための旅を取り戻す

「スマホ脳」を読んで決意したのは、スクリーンタイムを制限し、自分のための時間を取り戻すこと。それと、旅の時は現地の空気感やそこで働く人々、目に見えるもの、香り、手で触れられるもの、舌で味わうものに全身全霊を注ぐこと。これまでは未来の自分や友人、SNSのために撮影ばかりしていた旅行時間を、自分のために取り戻す「旅をしよう」と思います。

らく@staff
  • らく@staff
  • 競馬、温泉、落語と講談が大好きな地方暮らし。個人の趣味サイト「くらしのおたより」を運営しています。サイト内の写真・文章の引用については「はじめに」をご覧ください。https://lifestyle-area.com/2017/04/14/hello-world/

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です